前回の記事で、Vercelを使ってWebアプリを公開(デプロイ)する方法を解説しました。
これでお店(アプリ)の外観は完成し、お客さんが来れる状態になりました。
でも、このままでは一つ致命的な問題があります。
「お客さんの情報を記録するノート(データベース)も、会員証を確認する係(ログイン機能)もない」のです。
これらを一からプログラムで書くのは非常に大変ですが、Googleが提供する「Firebase」を使えば、部品を組み立てる感覚で実装できます。
今回は、個人開発者の強力なパートナーであるFirebaseの機能と、始め方を徹底解説します。
1. そもそもFirebaseって何?
Firebaseは、Googleが提供している「アプリの裏側(バックエンド)の詰め合わせセット」です。
本来、アプリ開発では「サーバー」を用意して、「データベース」をインストールして、「セキュリティ対策」をして、といった面倒な準備が必要です。
Firebaseは、これら「面倒だけど絶対に必要機能」を、Googleが代わりに管理して貸してくれるサービスです。
💡 なぜ個人開発で人気なの?
- サーバー管理が不要: Googleのインフラを使うので、サーバーが落ちる心配がほぼありません。
- 基本無料: 個人開発レベルなら、ほとんどの機能を無料で使い倒せます。
- 開発スピードが爆速: 「ログイン機能」などは、コードを数行書くだけで実装できます。
2. これだけ覚えればOK!主要な4つの機能
Firebaseにはたくさんの機能がありますが、初心者が最初に覚えるべきは以下の4つだけです。
① Authentication(認証)
「ログイン機能」担当の警備員です。
メールアドレス/パスワードでのログインはもちろん、GoogleログインやX(Twitter)ログインなども、簡単に導入できます。セキュリティもGoogle基準なので安心です。
② Firestore(データベース)
「データ保存」担当の巨大本棚です。
ユーザーの情報などを保存します。特徴は「リアルタイム」。誰かがデータを書き換えると、見てくれている全員の画面が一瞬で更新されます(チャットアプリなどがすぐ作れます)。
③ Storage(ストレージ)
「ファイル保管」担当の倉庫です。
データベースには入り切らない大きなデータ、例えば「ユーザーのアイコン画像」や「投稿された写真」などを保存するために使います。
④ App Hosting(アップホスティング)
前回紹介した「Vercel」と同じ役割です。Next.jsなどのモダンなWebアプリを、GitHubと連携して自動で公開してくれます。
3. どっちを使う? Vercel vs Firebase App Hosting
ここで疑問が出るはずです。「前回Vercelを使ったけど、Firebase App Hostingに乗り換えるべき?」と。
結論から言うと、まだ「Vercel」のままで大丈夫です。
| 比較項目 | Vercel | Firebase App Hosting |
|---|---|---|
| 得意分野 | Next.jsの機能を100%活かせる (開発元が同じため) | Google系サービスとの連携 (GCPの強力なバックエンド活用) |
| 設定の手軽さ | 超簡単(設定ほぼ不要) | やや細かい設定が必要 (まだ発展途上の機能) |
| 料金 | 無料枠が使いやすい | ビルド時間に課金される場合がある |
| おすすめの層 | 個人開発・初心者 | 大規模・企業案件 |
現在の個人開発の王道スタイルは、以下のように「いいとこ取り」をする構成です。
- 表側(表示・公開): Vercel
- 裏側(データ・認証): Firebase (Auth + Firestore)
4. Firebaseプロジェクトの作り方と初期設定
では、実際にFirebaseを使い始める手順を解説します。
Step 1: プロジェクトの作成
- Firebaseコンソールにアクセスし、Googleアカウントでログイン。
- 「プロジェクトを作成」をクリック。
- プロジェクト名を入力(例:
my-first-app)。 - 「Googleアナリティクス」の設定は、練習用ならオフでOKです(オンにすると設定項目が増えるため)。
- 数秒待つと、「新しいプロジェクトの準備ができました」と表示されます。
Step 2: Webアプリとして登録する
プロジェクトという「箱」ができたら、そこに「Webアプリ」を登録します。
- 管理画面のトップにある「</> (ウェブ)」アイコンをクリック。
- アプリのニックネームを入力(プロジェクト名と同じでOK)。
- 「Firebase Hostingも設定しますか?」のチェックは、Vercelを使うなら外したままでOKです。
- 「アプリを登録」を押すと、英語のコードが出てきますが、今は一旦閉じてコンソールへ進んで大丈夫です。
Step 3: 料金プランの確認(超重要)
最後に、一番大事なお金の話です。
💰 Sparkプラン vs Blazeプラン
Firebaseには2つの料金プランがあります。
- Spark(無料プラン):
初期設定はこれです。クレジットカード登録不要。認証やFirestoreなど、個人開発に必要な機能は十分使えます。 - Blaze(従量課金プラン):
「使った分だけ払う」プランです。App Hostingなどの一部機能を使うには、このプランへの変更(カード登録)が必須になります。
⚠️ 初心者へのアドバイス
まずは「Spark(無料)」のままで始めてください。
認証(Auth)やデータベース(Firestore)を使うだけなら、Sparkプランで全く問題ありません。
「機能が足りない!」となった時だけ、Blazeへのアップグレードを検討しましょう(Blazeにしても無料枠はあるので、いきなり課金されるわけではありません)。
まとめ:Googleの力を借りて「機能」を作ろう
Firebaseを使えば、プロレベルの「認証機能」や「データベース」が、サーバー管理なしで手に入ります。
- Vercel: お店の「外観(表側)」を作る場所
- Firebase: お店の「スタッフ・倉庫(裏側)」を雇う場所
この2つを組み合わせるのが、現代の個人開発における最強のスタイルです。
プロジェクトの箱は用意できました。次回以降、この箱の中に実際の「認証機能」や「データベース」を設定していく具体的な手順に入っていきましょう!