ここまでの記事で、VercelやFirebase App Hostingを使ってアプリを公開することに成功しました。
しかし、今のURLを見てみてください。my-app.vercel.app や my-app.web.app のようになっていませんか?
これでも動きますが、あくまで「借り物の住所」です。
自分のサービスとして世界に発信するなら、google.com や simplekits.tech のような「自分だけの住所(独自ドメイン)」を取得しましょう。
今回は、ドメインの買い方と、それをアプリに紐付けるための「DNS設定」について解説します。
1. そもそも、なぜ「独自ドメイン」が必要なの?
「無料のURLでも動くのに、なぜわざわざ年間1,000円以上のお金を払うの?」
そう思うかもしれません。しかし、個人開発でアプリを公開するなら、独自ドメインは「絶対にケチってはいけない投資」です。
その理由は大きく3つあります。
メリット①:怪しまれなくなる(信頼性)
ユーザーは、見慣れないURLを警戒します。
my-app.vercel.app→ 「テスト用かな? 個人が適当に作ったのかな?」myapp.com→ 「ちゃんとした公式サービスだな」
独自ドメインにするだけで、「ちゃんとしている感」が一気に出ます。
これは、SNSでシェアされた時のクリック率にも大きく影響します。
メリット②:引越ししても住所が変わらない(資産性)
これが技術的には最大のメリットです。
携帯電話の番号を変えずに携帯会社を乗り換える(MNP)のと同じです。
もし将来、「VercelからFirebaseに乗り換えたい!」となった時、無料URLだと .vercel.app から .web.app にURLが変わってしまい、それまでのリンクやユーザーのお気に入りがすべて無効になります。
独自ドメインを持っていれば、中身のサーバーをVercelからFirebaseに変えても、URLは myapp.com のままです。
つまり、積み上げたユーザーやSEOの評価を失わずに済みます。
メリット③:収益化に必須(AdSense)
もしアプリやブログで広告収入(Google AdSense)を得たいと考えているなら、独自ドメインは必須条件です。
現在のGoogle AdSenseは、原則として無料ドメイン(サブドメイン)での申請を受け付けていません。
2. これからやることの全体像
作業に入る前に、以前の記事で紹介した「Webの仕組み」を思い出してください。
🏠 おさらい:Webの世界の建築関係
- 土地・建物(サーバー): Vercel や Firebase App Hosting
- 住所(IPアドレス):
76.76.21.21のような数字(Vercel等の場所) - 看板(ドメイン): 今回取得する
myapp.comのような名前 - 地図(DNS): 「
myapp.comは76.76...にあるよ」と教える台帳
今回やる作業は以下の2ステップです。
- 看板を買う: ドメイン販売業者(レジストラ)にお金を払って、好きな名前の権利を買います。
- 地図を書き換える(DNS設定): 買った看板に、「このお店(アプリ)はVercelにありますよ」という情報を登録します。
Vercelを使っている人も、Firebase App Hostingを使っている人も、「ドメインを買って地図を書き換える」という手順は全く同じです。
3. ドメインの選び方と買い方
① どこで買えばいい?
ドメインは「ドメイン登録業者(レジストラ)」から購入します。
初心者におすすめなのは、日本の大手サービスです。管理画面が日本語で分かりやすく、DNS設定も簡単だからです。
- Xserverドメイン: 国内シェアが高く、更新費用も安定的でおすすめ。
- お名前.com: 最大手。キャンペーンで初年度1円などで買えることが多い(ただし2年目以降の更新費に注意)。
- Google Domains(現在はSquarespace): かつて最強でしたが、事業売却されたため現在は少し推奨しづらいです。
※VercelやFirebaseの中で直接ドメインを買うこともできますが、ドル払いになったり、後でサービスを乗り換える時に面倒になることがあるため、ドメインは専門業者で管理する(分ける)のが「個人開発の生存戦略」として賢い方法です。
② どの種類(.com / .jp)を選べばいい?
末尾の部分(TLDと言います)にはたくさんの種類があります。
| 種類 | 特徴 | おすすめ度 |
|---|---|---|
| .com | 世界で一番メジャー。信頼性が高い。 | ◎ |
| .jp | 日本国内に住所がある人限定。信頼度が高いが少し高い。 | ◯ |
| .net | .comが埋まっている時の第2候補。 | ◯ |
| .app / .tech | IT系サービスで人気。モダンな印象。 | ◎ |
| .xyz / .site | 非常に安いが、スパムサイトに使われがちで信頼度が低め。 | △ |
個人開発なら、無難に .com か、アプリっぽさのある .app / .tech あたりがおすすめです。
⚠️ 購入時の超重要チェック項目
購入画面に進むと、オプション選択で「Whois情報公開代行」という項目が出てきます。
これは「絶対にON(有効)」にしてください。
ドメインの持ち主の住所や電話番号は、インターネット上で誰でも検索できるようになっています(Whois情報)。
この「代行」をONにすると、あなたの個人情報の代わりに、ドメイン会社の住所を表示してくれます。
これを忘れると、あなたの自宅住所が世界中に公開されてしまいます。
4. DNS設定(地図の書き換え)の手順
ドメインを購入したら、いよいよ接続です。
ここでは一般的な流れを解説します。
Step 1: アプリ側の「値」を確認する
まずは、VercelやFirebaseの管理画面に行き、「このドメインを使いたい!」と申請します。
ドメインはVercelかFirestore App Hosting どちらか片方に紐づける形になるので、使用したい方を選択してください。
- Vercelの場合: Settings → Domains
Firebaseの場合: Hosting(またはApp Hosting) → カスタムドメインを追加 - 取得したドメイン名(例:
myapp.com)を入力して追加ボタンを押します。 - すると、画面に「DNS設定(Aレコード または CNAMEレコード)」という情報が表示されます。
これが「地図に書き込む座標データ」です。コピーしておきましょう。
Step 2: ドメイン会社側で「DNS」を設定する
次に、ドメインを買ったサイト(Xserverドメインやお名前.com)の管理画面を開きます。
- 管理画面から「DNSレコード設定」や「ネームサーバー設定」といったメニューを探します。
- 「レコード追加」ボタンを押し、先ほどコピーした情報を入力します。
入力例(Vercelの場合):
- 種別(Type):
A - ホスト名(Name): 空欄(または @ )
※www.myapp.comにしたい場合はwwwと入れます - 内容(Value):
76.76.21.21(Step 1で表示された数字)
入力したら「追加」や「保存」を押して完了です。
5. 反映を待つ(ここが一番不安!)
設定が終わっても、すぐには繋がりません。
インターネット上の地図情報(DNS)が世界中に書き換わるまでには時間がかかります。
- 早ければ: 数分〜1時間
- 遅いと: 最大24時間〜48時間
VercelやFirebaseの画面で、ドメインのステータスが「Invalid configuration(設定ミス)」から「Valid(有効)」や緑色のチェックマークに変われば成功です。
焦らず、コーヒーでも飲んで待ちましょう。
まとめ:自分だけの「看板」を手に入れた!
独自ドメインを取得すると、あなたのアプリは「誰かのサービスの一部」から、「独立した一つのWebサービス」へと進化します。
信頼性が上がるだけでなく、自分自身のモチベーションも大きく上がるはずです。
年間1,000円〜2,000円程度の投資ですが、その効果は絶大です。ぜひ自分の「看板」を掲げてみてください。