開発・技術

認証機能は自作するな|Clerk / Auth0 / Firebase Auth を個人開発視点で比較選定

個人開発でアプリを作る時、まさか users テーブルを作って、パスワードをハッシュ化して、JWTの発行ロジックを自分で書こうとしていませんか?

はっきり言います。認証機能の自作は、個人開発における最大の「時間の無駄」であり「リスク」です。

セキュリティの専門家でない私たちが実装した認証機能より、何千人ものエンジニアが磨き上げた認証SaaSを使う方が、安全で、高機能で、何より早いです。

今回は、個人開発(特にNext.js周辺)で候補に上がりやすい ClerkAuth0Firebase Authentication の3つを比較し、プロジェクトの性質ごとにどれを選ぶべきかの結論を出します。

比較の結論:個人開発ならこう選べ

時間がない方のために、最初に結論のチャートを置いておきます。

🏆 個人開発者のための選定チャート

  • Next.js (App Router) を使って“最速で”出したい 👉 Clerk が最有力
  • DBにFirebase (Firestore) を使い、Security Rules中心で設計したい 👉 Firebase Auth が自然
  • 将来的にB2B / 企業導入 / SSO要件(SAML等)が濃い 👉 Auth0

⚠️ 先に大事な注意:
料金比較で事故りがちなのは「無料枠の定義」です。MAU/DAUの数え方、電話/SMSの従量課金、上位機能(MFA/SSO等)の課金で体感コストが変わります。必ず公式Pricingを最後に確認してください。

3大認証サービスの比較表(個人開発の財布 & DX視点)

それぞれの特徴を「個人開発者の財布と開発体験」の視点で比較しました。

項目 Clerk Firebase Auth Auth0
無料枠の目安 10,000 MAU 基本は無料で始めやすい
※Identity Platformを有効化すると制限/課金体系が変わる(例:SparkでDAU制限等)
25,000 MAU
Next.jsとの相性 ◎(最高)
App Routerで体験が良い
◯(素直)
ただし実装範囲が広め
◯(標準的)
UI実装の手間 極小
(コンポーネント置くだけ)
大〜中
(自作 or 既存UI採用)
小〜中
(ホスト型/リダイレクト中心)
ユーザー管理画面 非常に使いやすい シンプル 高機能だが複雑
将来のSSO / B2B適性 ◯(要件次第) △(設計次第) ◎(本領)
電話/SMS認証 従量課金の影響が出やすい 従量課金になりやすい
※最初から計算しておくのが安全
従量課金の影響が出やすい

1. Clerk:今のNext.jsに最適化された「爆速DX」

もしあなたが今からNext.jsで新規開発を始めるなら、Clerkは最短距離です。開発体験(DX)がとにかく強い。

ここが凄い:

  • UI構築が不要: <SignIn /><UserButton /> を置くだけで、ログイン〜プロフィール周りまで一気に形になります。
  • Middleware/保護ルートが書きやすい: 「このページはログイン必須」の制御がスムーズで、認証周りのバグを踏みにくいです。
  • 個人開発の“最初の勝ち筋”に強い: まず出して、検証して、改善する…の速度が出ます。

注意点:
無料枠を超えた後は従量課金が効いてきます。とはいえ個人開発の初期フェーズでは「開発速度>数百円〜数千円」になりがちなので、まずはClerkで走って問題が出たら移行検討、でも十分戦えます。

2. Firebase Auth:Firestore構成なら“設計が一本化”する守護神

Firebase Authは、Firestore + Security Rules中心で作るときに設計が一番シンプルになります。「ユーザー本人のデータだけ読み書きできる」をルールで守る設計に寄せるなら、自然にこの選択になります。

ここが凄い:

  • Firestoreとの相性が抜群: Security Rulesで「本人だけアクセス可能」を作るなら、Authが“前提”として綺麗にハマります。
  • コストが読みやすい構成を作れる: 認証に関しては“無料で始めやすい”ケースが多く、アプリの主要コストはDB/ストレージ/通信量側に寄りやすいです。

⚠️ Firebaseでハマりやすい落とし穴(ここだけ押さえて)
Firebase Authには「Identity Platform(アップグレード)」という概念があり、有効化すると制限や課金体系が変わることがあります(例:無料プランでDAU上限が入る等)。
また電話番号/SMSは従量課金になりやすいので、B2Cで大量利用が見えるなら早めに試算しておくのが安全です。

注意点:
ログイン画面のUIは基本的に自作(またはUIライブラリ採用)になります。Clerkのような「置くだけで完成」という手軽さはありません。
ただし、裏を返せばUI/UXを自由に作り込めるので、プロダクト体験を優先したい人には向きます。

3. Auth0:信頼と実績の“エンタープライズ耐性”

Auth0は認証界の巨人です。個人開発でも使えますが、真価が出るのはB2Bや企業要件が濃いケースです。

ここが凄い:

  • 標準準拠: OpenID Connectなどの標準規格に強く、どんな言語・フレームワークでも“ちゃんと”乗ります。
  • SSOや組織管理などの拡張: 将来的に「取引先ごとのSSO」「組織・テナント」「監査ログ」などが欲しくなっても筋が通しやすい。

注意点:
設定項目が多く、個人開発で「サクッと作りたい」時にはオーバースペックになりがちです。
ただ、最近は無料枠(25,000 MAU)が大きくなっているので、要件が合うなら最初からAuth0で始める選択肢も現実的になっています。

まとめ:認証は“勝ち筋”じゃない。コア機能に時間を使おう

認証機能は、空気のようなものです。あって当たり前、無いと使えない。しかし、どれだけ素晴らしい認証画面を作っても、それだけでユーザーが喜ぶことはありません。

だからこそ、ここには時間をかけないでください。

  • Next.jsなら Clerk で爆速実装(まず出す)。
  • Firestore中心なら Firebase Auth で設計を一本化(ルールで守る)。
  • B2B/SSOが見えるなら Auth0 で将来コストを減らす(最初から筋を通す)。

この基準で選べば、大きく外すことはありません。浮いた時間を、あなたのアプリだけの「価値」を作ることに使いましょう。

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